はじめに
前回の記事では、AI(ChatGPTやClaude)と人がどんなふうに役割を分担しながらキャラクターを育てているか、という話をしました。
今回はもう少し手元の作業に近い話です。ニャイトンとハレミャンのLINEスタンプが実際にできあがるまでには、思っていた以上に細かい試行錯誤がありました。LINEスタンプを作ったことがある方はあまり多くないと思うので、今日はその舞台裏を、ご紹介します。
1体のキャラクターが、スタンプになるまで
そもそも、LINEスタンプの画像には「透明な背景」が必要
LINEスタンプは、トークルームの吹き出しの上に、キャラクターの絵だけがポンと乗っているように表示されます。つまり画像の背景が四角いままだと、キャラクターの周りに白や色のついた枠が残ってしまい、浮いて見えてしまいます。そのため、LINEスタンプの画像は「背景が透明」であることが必須の条件になっています。
ここで登場するのが「クロマキー」という考え方です。テレビの天気予報などで、緑や青い布の前に人が立って撮影し、あとから背景だけを別の映像に差し替える技術を見たことがある方も多いと思います。あれと同じ原理で、まずキャラクターを鮮やかな緑色の背景の上に描き、あとからその緑色の部分だけを検出して「透明」に置き換える、という処理をしています。緑色を使うのは、キャラクターの毛の色や肌の色とかぶりにくく、機械的に検出しやすいからです。
素材シートという工程
LINEスタンプは、1個ずつバラバラに描いているわけではありません。まず1枚の大きな緑色の背景の上に、複数の表情やポーズを格子状にまとめて描き分けていきます。これを「素材シート」と呼んでいます。
そこから1コマずつ切り出して、緑色の部分を透明に置き換えると、ようやく1個のスタンプ画像になります。下の図のようなイメージです。

言葉にすると単純ですが、この「1枚のシートから、1個ずつを正確に取り出す」という工程が、実はいちばん地味で、いちばん気を抜けない部分でした。
切り出しで見つかった、小さな不良
ハレミャンのスタンプの中には、最初に組んだ完成データをそのまま採用せず、いったん1枚ずつ目視で確認し直したセットがあります。
そのとき、切り出しの一部にうまくいっていない箇所が見つかりました。良かれと思って進めていた工程の中に、見た目だけでは気づきにくいズレが紛れ込んでいたということです。見つかった箇所を直し、修正版をあらためて正式な完成データとして採用しました。
小さなズレとの戦い
耳や尻尾が、消えてしまうこともある
素材シートは、1コマずつ区切られたマス目になっています。キャラクターをそのマス目の端に近づけすぎると、切り出したときに耳や尻尾の先が欠けてしまうことがあります。
かわいらしいポーズほど、体の一部がマスからはみ出しそうになりがちです。だからこそ、切り出す前に「全身がちゃんとマスの中に収まっているか」を確認する作業を欠かせません。
文字が切れる、色が残る
セリフや文字を入れるスタンプでは、文字が画像の端に寄りすぎて一部が切れてしまうことがありました。また、緑色を透明に置き換える処理の際に、境目にうっすらと緑色が残ってしまうこともあります。
どちらも、パッと見ただけでは気づきにくい種類の不具合です。だからこそ、機械的なチェックと、人の目による確認、両方を組み合わせる必要があると考えています。
「できた」と「完成」のあいだにあるもの
申請の準備はAIが担当、でも最後は必ず人の目で
必要な枚数分のスタンプ画像がそろったら、それを一気にアップロードして申請できるよう、ひとまとめのファイルに整理する作業があります。この「まとめる作業」自体はAIが担当しています。
ただし、AIがまとめたら即申請、というわけにはいきません。ファイルの形式やサイズが正しいかどうかは機械的に確認できても、「キャラクターらしい表情になっているか」「見た目に違和感がないか」「このセットとして統一感があるか」といった部分は、最後まで人の目で見て判断するしかないからです。だからこそ、実際に申請する前には、必ず人間が1枚ずつあらためて確認する、というひと手間を挟んでいます。
そして、まさにこの確認の段階で、これまでご紹介したような不備が見つかりました。耳や尻尾が欠けていたり、文字が切れていたり、色がうっすら残っていたり。AIが用意した段階では気づきにくかった小さなズレも、最後に人の目でひとつずつ見ていくことで拾い上げることができています。「できた」と「完成」のあいだには、この地道な確認作業がある、ということです。
名前を、正しく届けるために
商品名にキャラクターの名前をきちんと入れる
SNSでの発信を始めるにあたって、あらためて見直した部分もあります。それが商品名です。
もともとの商品名には、ニャイトンやハレミャンといった正式な名前がきちんと反映されていない部分がありました。SNSで見てくださる方が「あれ、これって誰のスタンプ?」と迷わないように、2026年8月、商品名を見直して申請し直しました。今は無事に反映され、キャラクターの名前がきちんと商品名に入った状態でお届けできています。
おわりに
華やかに見えるキャラクターグッズの裏側には、地味だけれど欠かせない工程がいくつも重なっています。今回ご紹介したのは、そのほんの一部です。
こうして生まれたLINEスタンプたちは、ニャイトンとハレミャンの日々の表情そのものでもあります。よかったら、覗てみてください。

